てことで
ど田舎チャプターは終わりです
6年間
短くはなかった
そもそもが農業をやるために越してきたのにたった2ヶ月で辞めてしまって
ここに決めたのも、松本時代に感動した景色の中で暮らしたい、というのがあったからだが正確にここだと分かっていたわけではなくって
越してから一年くらい経って、車で30分ほどのところにその景色があるとわかり
「今住んでるとこじゃなかったわ」て言って奥さんを絶句させた
勢いで連れてきた格好で、奥さんには申し訳なかった
彼女も仕事を転々とした
最初に勤めていた市役所が、1番つらそうだった
精神科の病院にも行った
診察をそばで聞いていたオレが西洋的投薬を拒んで、漢方薬を処方してもらった思い出
それでも効果があって、今の命の母につながっている
彼女自身も進化した
仕事での悩みが彼女の人生を複雑にしていたのだが
自分で悩みを解消する手段を、少しずつ獲得していた
最後に勤めた工場でも入社時、まわりの人によく思われていないのではと
今までのすべての職場と同じように思い悩んでいたけど
それを正直に相手にぶつけてみるということで解消し、円満退社へと至った
立派だ
オレは基本的になにも変わっていない
奥さんが強くなるにつれ、むしろ退化した
「もう人にヘイコラ頭を下げたくない」という気持ちが年々増していて、ふてぶてしいじいさんにだけはなりたくないとヒヤヒヤしている
ど田舎でも都会と同じように、借金をしたり返したり、仕事を変えたり増やしたり減らしたりしてなんとか生き延びた
けど都会の方が過ごしやすいよね
お金もかからないし
車とか暖房とか
田舎の方がなんでも安いと思い込んでた
そんなわけで
サイタマで寮の管理人夫婦という
いっちばん金のかからない仕事を選択し、コロナ感染の止まない東京へと向かっている
なう
新型ウイルス、もうすぐオリンピックだしワクチンもできたしってことで緩みモードな日本のようです
知らんけど
富山旅行
2日目の夜は初めて2人で居酒屋ハシゴをやって
3日目には帰りがてら蜃気楼の街で浜焼きを食い海鮮丼を食いソフトクリームを食った
とにかく食いまくった旅行だった
新しい仕事が始まる前に、有り金すっからかんにしておこうという勢いであった
引越し当日のきょう
この日が近づくにつれオレのやる気がどんどん希薄になっていき
当日も予定より2時間遅く起きた
居間も台所も寝室も、ぜんぜん片付いていなくて
しかし結局、カッコよく間に合わせた我々であった
前日には車を売ってしまって、焼却炉までゴミを抱えてチャリで1時間走ったのが1番きつかった
引越し屋にすべてを任せて、その最中にご近所回りもできた
向かいのおばあちゃんに挨拶した時
さびしい…!
て言って泣き始めて
富山の菓子折りを渡してそそくさと後にしたら
すぐ引くんじゃないよ。私みたく一緒に泣かんかい。
ていわれた
おかっての鍵を捨てちゃったり、ガラスの汚れが落ちなかったり、ふすまが破けていたりだけど
まあ大丈夫でしょ、て不動産屋は言った
担当の不動産屋が休みで、後日大家のおばあさんと2人で内見するとか
らんま様はそれでいいですか?て聞かれたけど
ハイとしか言いようがない
引越し屋が当日になって予定より1時間も早くきたのにはイラついたけど
そのおかげで特急に乗ることができた
19時台にはホテルに着く
そのホテル代も会社が持ってくれるという
ヤッタネ
涙を流して見送ってくれた向かいのおばあちゃんが、あわてて渡してくれたみかんに蜘蛛の巣が張っていた
…捨てていい?て奥さんが聞いて
入っていたセレモニーホールの紙袋ごと、車内のゴミ箱に捨ててた