不穏ナイト

車で1時間くらいの、この辺じゃ都市部へとナイトドライブ

奥様は夜のドライブがお好き


時短要請とかいうのが発令されていて駅前の飲み屋街は真っ暗

要請を無視した飲み屋の前掛けを下げた客引きが突っ立ってタバコ吸ってた


ビルとビルの間の道で詰襟スーツのこわい兄さんたちが談笑している


田舎を離れる前に絶対行っておきたい料理屋さんが今日も営業していたのを

店の前に置かれたポリバケツで確認して

安心して家へとUターン



帰り道の西友で週の買い物


同い年くらいの主婦ぽいお姉さんが初春の昼寝みたいな装いで、入り口にぼーっと立っているなと思ったら

通り過ぎてしばらくして、膝からくずおれた

すぐ立ち上がったけど足取りがおぼつかなく、段ボールを積んだ台車に寄りかかろうとしてまた倒れた


ワクワクして近寄る

奥さんが「大丈夫ですか?」

グッ、て両手を広げて、

大丈夫です!


顔に出ないドランカーか、お薬キメキメの人だろう

ずっと見ていたかったけど、オレは奥さんの旦那なのですぐに離れた

だいぶ離れてから、またけたたましく倒れて、店の人が駆け寄ってた



時短要請とか、なんなんだ

流行りなのか

市民はバカでつい宴会しちゃうから、こうするしかなかったのか


宴会したい人は家でもするじゃん

したくない人は、しないじゃん


結果はどうであれ、行政として無施策はいかんでしょうということなのか


その施策に乗ってくれた店には毎日4万円あげる、とか

バイト先の焼き鳥屋なんかは乗った方が儲かるな

今日だってオレの給料を払ってしまったら、何も残らない

手羽先の骨と肉片のついた串と、73歳の腰と膝を痛めた老人しか残らない


でもオレの町ではその施策は流行ってない

そもそもマスターは乗らないかもしれない