はっはっは

いやー、
はっはっは
ゆかいゆかい



仕事終わりに給料は明日朝イチで入れるからごめんねって言われたときには
上司ぶん殴ろうかと思ったぜ
ぶん殴るかわりに
それじゃ困ると1万ぶんどってきて
インド人に見つめられながらカレー食ってナン食った
ジーマ飲んでパコラ食った


今日はインド人が無駄に六人もいて
客はオレだけ









食い終わる頃には三人に減り
そのうちの一人が社長で
横で飯食い始めたから昔話をお願いする


シャチョサンは若いときにインドから日本に渡り
荒くざっとかたち取ったスプーンとかの金属をきれいに磨く仕事をしていた
どんなに頑張っても月に30万がやっとで
節約のために毎日米に砂糖と牛乳をかけたものを食べていたそうだ


苦労した…苦労したよ


と禿げ頭をなでながら思い出す社長さん

彼は板橋のほうにも店を二軒構えている
磨き屋からどうやってそこまで大きくなったのか
そこはやっぱ彼もイスラム教徒だから
神のおかげで…たまたま、と言う


つまり結婚した日本人の奥さんの父親が金持ちだったんだな
磨き屋じゃいつまでたっても生活は苦しいから何か商売を始めろ、と言われて
カレー屋やりたいと言ったら金を出してくれた
スゲー話だ


私の奥さんのお父さん、
戦争というのは考えちゃダメだと
死ぬかもしれない、けがしたらどうしようでは戦争には行けないんだと…


…つまりビジネスもそうだということですね?


そうそう、そういうことです
もしかしたら失敗するかもしれない、でもうまくいったら(手でOKサイン)、全部自分のものです



で見事カレー屋を当てた、そんなシャチョサンの次なる展望は
八百屋をやりたいと言う
奥さん方のための八百屋でなくて
何十ケースと買い込む飲食店のための八百屋
曙橋にもそういう店があるそうで
そこを観察しているうちにこれは絶対儲かる、と確信したそうだ


八百屋ってそんな儲かるの?とよくわからないオレに
社長さんがボソボソと説明する
大量に買い込む客を30軒つかまえられればまず儲かるという数字の話
浅草で始めて一年で7店舗まで急成長した八百屋が、在庫管理や従業員教育がおろそかになり倒産して、今再起をはかっているという話


ふむふむ
そういう話ってなんか面白いですよね


でも八百屋にも大変なところがあると
それは朝早く起きて市場に買い出しに行くことだと
売るのは誰でもできるけど、買い出しはもう私ではできない
そこで冗談抜きの話ですけど、儲かりたいならやりませんか?


うーん
面白い話だ
でもとりあえず僕は
料理長と相撲を見なくてはいけない
考えときます、と答えた



ところで板橋の店はうまくいっているが
こっちのカレー屋が儲かっていない


毎日赤字だよ…毎日…


と悩むシャチョサン
でもここのコックは頑張ってるし、おいしいしね
彼らもいつか独立しようとイッショ懸命だ
だから、ま、いいか、と思って…




シャチョサンありがとうございました
今日もカレーうまかったっす