ダイジェスト十二日目

習慣でつい見てしまうけど
予習のために見ていたわけで
もうどうでもいいわ
そう考えるとこの十一日間は楽しかったのかもな




昨日は終わってから
料理長にちゃんこをごちそうになった


鶏の内蔵や野菜を鍋に入れつつ料理長
お前はいったい何者なのか、何をして幸せを感じるのか
ということを
しっかり理解しないと


みたいな話をされ


何がやりたいのか、自分でよく分からないんですよと正直にいうオレ


料理長もマアそうだな、
実際分かってるやつなんか滅多にいないよな
オレら戦後の世代はほとんどが中学出たら行くとこ決まってたし、特に疑わなかった
けど、自分は何がやりたいのかはっきり分かってるやつも中には絶対いて
そういうやつはやっぱ強いよ




あと貯金をしろ、
それだけはしつこく言いたい


でも江戸っ子と言えば、宵越しの金は持たないって…


あれはしょっちゅう大火があった江戸だったから生まれた考えで、いまは違うよ


ハアなるほど…



あとキミはおとなしすぎるよ
東京はいろんなとっから人来るだろ?
みんなある程度自分を主張してかないと、こっちじゃやってけないのよ…


ハア




おおかた説教じみた話だったけど
実際は説教に聞こえなかったのが不思議
やっぱおじいさんはいい
まあ料理長はただのじじいじゃないけど
プロの寿司屋


ただ考えてみると
親子以上に年の離れた二人が
互いの名前もいまいち知らないのに
鍋をはさんで会話してるって
へんなの


そりゃあ話も説教くさくなるわな



ところで料理長ちゃんこたいして食わないから
僕ががんばって鶏の金玉二個食ったりしたもんで
帰りながらずっと気持ち悪かった